Column(コラム)

「おいしいお魚を次の世代に伝えられるように」~ サステナブルシーフードレストランBLUEさん訪問&インタビュー

2018 . 01 . 13

 

 

 

世田谷は千歳烏山駅の近くに、サステナブルなシーフードを使ったレストランができたという情報を聞きつけて、取材に行ってきました。

 

京王線千歳烏山駅から徒歩8分。駅前の下町をくぐり抜けると何ともおしゃれな外装のレストランを発見!

 

ここがサステナブルシーフードレストラン BLUEさんです。魚の絵もあるので、魚に関係するお店であることが連想できますね。

 

 

 

お店の入り口です。ヨーロッパやアメリカのポートランドに舞い込んできた、そんな外観の雰囲気を思わせます。

 

 

認証シーフードの日替わりパスタ 1,200円

 

 

シーフードの濃厚アメリケーヌソースドリア 1,350円

 

 

 

2つのメニューとも味が洗練されていて、なおかつヘルシー!堪能させていただきました。

 

【サステナブルシーフードレストラン BLUE 代表 

松井大輔さん インタビュー】

 

 

 

 

BLUE代表/株式会社DRESSNESS代表取締役 松井大輔さん

 

 

世田谷にサステナブルシーフードレストランをオープンするまで

 

-松井さんのこれまでの歩みについて教えてください。

 

 

福井県敦賀市出身。実家は漁協から3分にある場所です。

 

大学は東京で学び、卒業後はファッション業界で働いていました。

 

当時、会社をやりたいと思って、地元に帰ったときがありました。

 

そこで、漁師の方もいた地元の飲み会に参加したときに、驚きの事実を聞かされたのです。

 

小学生の時に、地引網み体験があったのですが、みんなに喜んでもらうため、漁師さんが網にあらかじめ魚を入れていたという事実です。

 

ファッション業界にいらっしゃっただけあり、内装は(もちろん外装も)とってもおしゃれ!この彫刻も松井さんが描かれたそう。

 

 

魚が減っている現状、特にウナギやマグロは減っていることは、ニュースを通じて何となく知られているのですが、地元の海洋資源も減っていることを初めて知り、危機感を覚えたのです。

 

店舗をやろうと思った時に一つの仮説を立てました。

 

福井県は魚にまつわる観光資源が多いのにも関わらず、寿司や海鮮丼など、食べる形は多くなく、むしろ食べ方が偏っているということです。

 

海外でよく食べられるシーフードとパンという新しい食べ方を提案することで、観光資源としても盛り上げていけるのではないかという仮説を立てました。

 

まずは、テイクアウトでサンドウィッチをやろうと思いました。

 

シーフードとパンの組み合わせ。食べ方で新しい提案をしたいと思ったのです。

 

そのテイクアウトのパッケージにサステナブルシーフードのことやMSC/ASC認証*のことを表示していました。

 

*MSC認証(Marine Stewardship Council 海洋管理協議会)・・・海の自然環境を守って獲られた水産物に対して与えられる認証マーク。

 

《海洋管理協議会Marine Stewardship Council 公式HP》

https://www.msc.org/?set_language=ja

 

 

*ASC認証(Aquaculture Stewardship Council 水産養殖管理協議会)・・・MSCの養殖バージョン。実は養殖には、エサとなる天然魚の乱獲や養殖場の生態系のかく乱など大きな問題をはらんでいます。

 

《Aquaculture Stewardship Council 公式HP》

https://www.asc-aqua.org/ja/

東京に進出したのは、サステナブルなシーフードをよりインパクトを持ってアピールしたかったからです。

 

東京ではサンドウィッチ専門店ではなく、レストランという形態で店舗を構えました。当然、認証食材を使おうと思うと、価格が高くなってしまいます。

 

当然、認証食材を使おうと思うと、価格が高くなってしまいます。

 

そこで、レストランやバーという形態にすることで、お酒での利益の分で食材の価格を抑えるようにしています。

 

ビオワインやオーガニックワインも取り揃えています。

 

 

サステナブルシーフードの伝え方

 

-お店を通じて、「サステナブル」や「認証」のことをどのように伝えていますか?

 

海外では、その商品やサービスを選択することに価値を見出す傾向にあります。

 

一方、日本では高いクオリティを求められます。

 

お客様は魚に対して、質や新鮮さの面で高い基準をもっています。

 

そこをクリアして初めてサステナブルのことや認証のことが言えるのではないかと認識しています。

 

だから、まず自分たちはいいモノを作ることを目指しますが、自分からはサステナブルなことや認証のことは言いません。

 

ただ、メニューやポスターに掲示をしているので、お客さんはだいたい気づいてくれるんですね。

 

そのときにウナギやマグロが減っているという悲観的な事実を話すよりも、このおいしい魚を未来に残していきたいですね、というポジティブなスタンスで伝えるようにしています。

 

MSC/ASC CoC認証*もお店のわかるところに、さりげなく、それでいて存在感をもってお掲示されています。

 

*MSC/ASC CoC 認証…流通・加工・量販店・ホテルやレストラン等、MSC認証やASC認証の水産物が適切に管理されて、認証されていない原料が混入することや偽装がないことを証明する認証です。大雑把に言うと、MSC認証やASC認証を扱っているお店に対する認証。

 

 

メニューにも認証マークが付けられています。MSC/ASC認証のことを全く知らない方でもこのマークの正体が気になりますよね。

 

 

‐お客さんの層について教えてください。

 

最初は漁業関係の方や業界の方が多かったのですが、最近では地元の方で家族連れの方も増えてきています。

 

自分がまだ20代で同世代の動向は気になりますね。

 

同世代の方に来てもらえるようなお店作りをしていきたいです。

 

やがて生まれてくる僕たちの次の世代が、漁業を取り巻く環境について知らないのと知っているのでは全然違うので、意識したい。

 

ただ、ターゲットはまずお子さんをお持ちの主婦の方です。サステナブルシーフードをお子さんのいる方に伝えていきたいと考えています。

 

伝え方も工夫することを心掛けています。

 

ニュースでマグロやウナギの漁獲量の減少のことを報道されていますが、実際、日本でスーパーに行けばマグロもウナギも売っています。

 

だから、あまり日本の魚が危機にあるという実感が湧きません。

 

現実を見てみると、ほとんどのスーパーでは魚売場は赤字になっているんですね。

 

魚があるからという理由でお客さんに来てもらい、他の部分で利益を上げているのです。

 

こういったあまり知られていない危機的な事実はありますが、日本の素晴らしい魚文化を残していきましょうというようにポジティブな伝え方をするようにしています。

 

 

日本の漁業について

 

-日本の漁業の現状をどのようにとらえていますか?

 

海外は大型漁船で漁業をすることがメインとなっています。

 

実は北欧では漁業は稼げる仕事なんです。(海外では漁業量制限があるので、休暇が多かったり、船の中に豪華な設備があったりと日本と違って環境が恵まれています)

 

ということで、費用のかかる認証を取得しやすいのです。

 

さらに、この認証自体がイギリス発祥のため、日本の漁業にはなかなか適応しない部分も多いです。

 

そういうこともあり、中小規模の多い日本の漁業従事者が認証を取るのがなかなか難しい傾向にあります。

 

海外では日本の漁業はひどい環境にあると認識されているので、サステナブルシーフードが普及すると間接的にそういった環境の改善にもなるので広めて行きたいです。

 

 

BLUEさん独自の「持続可能な調達方針」が掲示されています。

 

 

今後の展望

 

-今後やっていきたいことについて教えてください。

 

2020年のオリンピックに向けて、サステナブルシーフードへの取り組みが活発になってきています。

 

それに向けて、いろんな方がスクランブルしている都心にもう1店舗ほしいですね。

 

将来的には、日本の高いクオリティで、なおかつ認証マークだけを使った店舗を海外でやりたいと思っています。

 

また、大手企業にサステナブルシーフードの導入をお手伝いするコンサルティングもやっています。

 

特に社食のコンサルティングをしていますが、オリンピックに向けて、サステナビリティを取り入れるように動いているところが多いようです。

 

加えて、漁業者と飲食店をつないでトレーサビリティを取れるようにするお手伝いもしていますし、認証を核にレストランを運営している私たちの実績と知識でもって、サステナブルシーフードを使った飲食店を他にも広めるお手伝いをしています。

 

これらの事業も拡大していきたいと思います。

 

 

SDGs*との関わりは?

SDGs…Sustainable Development Goals 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」

 

2016年から2030年までに実施する、国連で定められた17のゴール・169のターゲットから成る。

 

SDGs制定後、日本でも政府だけではなく企業部門でも事業活動にSDGsの要素を取り入れることが増えてきている。

 

(その前は、MDGs…Millennium Development Goals (ミレニアム開発目標 2001年に制定))

 

 

-SDGsと関連付けは以前からやっていたのでしょうか。

 

最近になってからです。

 

SDGs14*と関連付けています。

 

テーブルも廃材を使ったり、メニュー表にはFSC認証の紙を使ったり、フードロスに気を使ったりして、他のSDGsと関連付けられるのですが、そうするとぶれてしまうので、今は14のみを押し出しています。

 

*SDGs14…「海の豊かさを守ろう」

 

 

テーブルに廃材を使ったり、フードロスにも取り組まれたりされているので、そういった面も価値としてPRされているのでしょうか。

 

海外では、すべてにおいてサステナブルなものを使って、それをコンセプトにしているお店もあり、しっかりとお客さんに伝わっています。

 

例えば、エネルギーから外装まですべてサステナブルなお店もあります。

 

ただ、日本でそれをアピールすると「結局何がしたいの?」と思われるんですね。

 

まだまだあまり伝わらないと考えています。

 

「私たちはおいしい食べ物が食べたいだけなのに」という認識は当然ながらまだあると思います。

 

だから段階を踏んで広めていこうと考えています。

 

 

テーブルや壁にはなるべく廃材を使っています。

 

<編集後記>

 

もともと松井さんはファッション業界にいらっしゃっただけあり、本当におしゃれな店内、すべてにファッションの要素が入っているお店でした。

 

また、松井さんのサステナブルシーフードを広める思いとその戦略に感銘を受けました。ポイントは5つです。

 

 

1.魚が少なくなっている事実に対して、ネガティブなイメージを植え付けるのではなく、「こんなおいしい魚を次の世代に残していきましょうよ」というポジティブなスタンスで伝えるようにしている。

 

 

2. 自分たちからはサステナブルシーフードについてあまりプッシュしないようにしている。まずは美味しい料理を作ることを心掛け、お客さん自身が気づいて初めて伝えるようにしている。ただ、メニューや内観を通じて気づいてもらえる仕掛けを作っている。

 

 

3.「サステナブル」というのは、漁獲量の減少に対する対策という「環境面」だけではなく、漁師さんの生活面も支える「社会面のことも含んでいる。

 

 

4. 廃材を使ったりFSC認証の紙を使ったり、フードロスに取り組んだりしているが、まずはサステナブルシーフードに絞って(SDGsでいう14番)PRしている。

 

 

5. 何よりもファッション性を持つ。外装やチョークアート、食器やメニューに至るまですべてがおしゃれ。

 

 

エシカルやサステナブルといったお店がまだまだ小規模にとどまっていることに対して、まずは商品の良さを伝えていき、その後にストーリーとして伝えていく戦略は日本の文化になじんでいると認識させられました。

 

 

サステナブルってどうやって伝わるの?と筆者も随分悩みましたが、サステナブルは「次の世代に残していけるもの」というわかりやすい言葉に置き換えられるのでは、と松井さんのお話を聞いて思いました。

 

何はともあれ、難しいことを考えずに、お店に行ってみてください!おいしいシーフードが食べられますよ。

 

 

※お店の情報は、2017年12月取材時のものです。最新の情報は下記お店の公式HP等でご確認ください。

 

 

 

【サステナブルシーフードレストランBLUE】

《お店公式HP》

https://www.blueseafood.jp/

 

《BiOS Link Japan URL》

bioslinkjapan.com/shop/サステナブルシーフードレストラン%e3%80%80blue/

 

《住所》東京都世田谷区北烏山9-2-4

 

《営業時間》ランチ 11:30-14:00 / ディナー 18:00-24:00

 

《定休日》月曜日

 

 

 

BiOS Link Japan